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入職6年目を迎えて(メンバーブログ)

訪問看護の道を歩んで早5年が経とうとしています。入職当初を振り返ると同じ看護職とは言え異なるステージによくぞ飛び込んだものだなあと我ながら感心しています。

 

入職してから一番苦労したのは病棟看護⇒在宅看護に頭(感覚)を切り替えることでした。病院では治療を目的とするため「病状(症状)」にフォーカスした医療を展開していきますが在宅では病状(症状)がありながらもどのような日々を送るのかという「生活」にフォーカスしていく点が大きく異なるポイントだと感じています。さらに病室と比較すると自宅という環境は「その人らしさ」が最も色濃くみられる場所であるため看護師としての立ち位置も変わります。当初、病室に伺う感覚で自宅にも伺っていたように記憶しています。当たり前のことですが入室するときには靴を脱ぐんですよね(笑)

 

訪問看護を始めた当初は利用者さん宅を訪問すると病棟看護の感覚が抜けないため利用者さんの「できないこと探し」をしてしまいギクシャクした関係性になりがちでした。今思えばできないこと探しをされたら誰でも嫌になると思いますが当初は全く気付いていませんでした。病棟リスク管理の観点であれば「できないこと探し」をする減点方式はある意味ではとても有効だと思いますが在宅では「できること探し」をする加点方式が有効だと思います。もちろん「できないことを適切に評価する」必要性はありますが…。

 

病棟看護⇒在宅看護への感覚が切り替わるまでには相当悩みました。訪問看護に関する情報は得られますが感覚の切り替えに関する情報は殆ど皆無。直観的にパッと切り替えができる人もいるかと思いますが残念ながら私は切り替えられなかったクチです。何度も病院への転職を考えた程です…。訪問すると「看護ができない自分」にフォーカスするという悪循環にも陥りました。利用者さんの「できること探し」ができず逆に自分自身の「できないこと探し」を行っていたなんて…今、振り返るとまさに地獄絵図そのものでした(汗)

 

そんな負のスパイラルにどっぷり浸かっていた時期に「できなくても良いんだ」と言う感覚を利用者さんから教わりました。「看護師と利用者さん」というスタンスだったのが気が付くと「ヒトとヒト」というスタンスになっていました。ほんの少しではあるかも知れないけれど利用者さん目線で物事を考えられるように、また、共感できるようになってきたのだと思います。今では訪問看護師と名乗ることができるようになりました。

 

「できないこと」を目の当たりにすると凹みますが「できるようになる」チャンスがそこにはあります。未経験を不安に感じるかも知れないけれど経験すれば良いだけの話だと思えるようになりました。悩んだ時期もありましたがこれからもずっと訪問看護の道を歩んでいきたいと思っています。